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顧 方進

 智能気功の理論は、自分の体験にともなって理解できるものです。 あるレベルまで体得すると、それより少し上のレベルの理論が理解できるようになります。 しかし、さらに上の理論となると、まるで霧の中で花を見るようで、何を意味しているのか、まったく理解できません。 では、どうすればレベルを上げることができるのかというと、それは意識を深めることです。

 まず、どんな意識が大切なのでしょう。それは、気功の求めに合うような意識を持つことです。 普段の生活の中では、誰でも意識を持っています。意識がなければ、昏睡状態のようなもので、普通の生活が送れません。 しかし、普通の意識の状態で病気を治すことはできません。潜在能力も開発できません。では、どんな意識状態がいいのか、といえば気功的状態にある意識です。 つまり、雑念のない意識です。何かを考えるとき、ほかの事を考えない。これが大事です。 たとえば、病気に罹ったとき多くの人は、どうしようか思い悩んで、クヨクヨしてしまうのではないでしょうか。 こういう意識状態は、マイナスです。無駄な思考を巡らせてしまうので、消耗します。しかし気功を練習して、自分の体の中の動きを感じられるようになると、 考え過ぎればエネルギーを消耗してしまうということがわかります。体を巡るエネルギーの中でも、頭へ運ばれるのは良質のエネルギーです。 全身の血液の3分の1が脳へ行くといいますが、脳へそれだけ栄養を、補充しなければならないということでしょう。

 しかし意念を一つにすると、消耗しません。たとえば仕事なら仕事のことだけ考える。 仕事に専念してから家への帰り道で、主婦だったら買い物をすることがありますね。すると疲れます。買い物は一般的に一番疲れるのです。 あれはいいな、とかこれが素敵、とか思うから、意識が分散してしまう。これがいいな、と思うと意識がここに、そこがいいと思うと、意識がそこに。 こうして気をばらまいていきます。文字通り気を使ってしまうので、疲れます。仕事に集中していれば、意念は一つですから、それほど疲れません。 このように集中するのとしないのとでは、疲れ方が違います。気功の意識の使い方は、意識を一つにする、雑念を除きます。すると、意識の力が出てきます。 たとえば、静かな水面を想像してください。鏡のように平らな水面です。そこに石を一つ投げ込むと、波紋が広がっていきますね。どこまでも広がってきます。 ところが、そこにいくつも石を次々に投げ込むと、波紋が乱れて邪魔しあい、広がっていきません。まさに、意識、考えることは波なのです。 一つなら力があります。病気の人が「良くなる」と一つだけ思えば、脳から全身に波が広がっていきます。すると体が情報を受けて、効果を顕わします。 治る、治る、という石をあまりたくさん入れても、効果は薄いのです。ですから、意識が根本的なところで一つになって、出ていくことが大切です。

 目を閉じたら雑念がいっぱい、という人がいます。こういう場合はどうしましょう。 たしかに、最初のうちは、目を閉じたら雑念がなくなる、ということは難しいでしょう。しかし一般の人は、自覚していないだけですが、普段は雑念だらけなのです。 目を閉じたら、意識が自分に向くので、雑念だらけだとわかるんですね。普段は、意識が外に向いているから気がつかないだけです。 しかし目をつぶるとわかるから、静かにしていようと思います。それだけでも、静かにしないよりはいいでしょう。 静かにできるのは、気功を学んでいるという背景があるからです。静かに、という状態の目標があります。そうでないときは、目標もありません。 ですから最初は雑念が多くてもいいのです。しかし焦ってしまうと、どうしよう、という雑念が出てきますね。これが水面に投じる石になってしまう。 だから、どうしよう、という気持ちも要りません。静かにしたら、その状態に自信を持つ。自分の今の状態で大丈夫、と思っているうちに、徐々に平らになってくるのです。 この気持ちが必要です。

 もう一つは、意念には深さがあって、その程度もいろいろです。気功を練習していくには、プラス思考が大切です。 例えば病院に行ってレントゲン検査したら、影が見えたとします。そこで、普通の人はガンかもしれない、どうしよう、と思います。 しかし、気功はプラス思考だから、そう考えてはいけない。ダメダメと心の中で打ち消す。このように、いろいろな思考が湧き出ますよね。 すると頭がごちゃごちゃになります。それぞれの意念は、深さが違うのです。影がある、と聞いたら、すぐプラス思考しなければなりません。 より深いところの意念で、プラス思考をしなければなりません。怖い、と思いますが、怖いという意念は、深いところの意念なのです。 気功が上達するには、深いところの意念を、プラスにすることです。潜在意識をプラス思考にする。しかし、一般はそうではないでしょう。 一般の人は、怖いというのが深いのです。なぜ怖いという意念が深いかといえば、子どものときから大人になるまで、いつも「怖いよ」とか「危ないよ」といわれて育ったからです。 その長年の蓄積があるから、ガンになったら死んでしまうと恐れるのです。一番大切な生命を、損なってしまうのではないかと反応するのです。 恐れは、深いところにあります。しかし、この深いところにある恐れを、除くことが大事です。それにはどうすればいいか。 何も考えていないところに出てくる深い意念を、第一意念といいます。たとえば、皆さんは今、私の話に集中していますね。 そこに突然名前を呼ばれたら、はい、と答えるでしょう。このような瞬間的な刺激にたいして、人間は深いところから反応します。第一意念で反応します。 この時、はい、ではなくて混元気を思う。普段の練功で押して、引いてをしますが、この時の意念は実はそれほど深くないのです。皆さんは雑念がたくさんあるでしょう。 今一つ集中に欠けています。しかし、頭の深いところで気に集中し、そこから反応していたら、そのパワーは大変なものになります。 たとえば日常生活では、体と意識がつながっていないのですが、突然名前を呼ばれると、意識の深いところから驚くので、体はびくっとしますね。 このとき、頭と体はつながっています。何も考えていないところに、突然の刺激で体と結びついている深い意念が現れるのです。 だから、頭がいつもプラス思考であれば、体もプラスに動きます。いくら病気が重体でも、治ります。一瞬にして治ることも可能です。 頑固な病気が治った例を確認してみると、そういうことが見られます。意識の深いところが、上達のポイントです。

 普段でも、何かあったらすぐ混元気を思いましょう。 たとえば目覚めたときは、それまで眠っていたので、頭の中は平らになっています。このとき、普通だったら「何時かな」と思うかもしれません。 しかし気功を練習しているものなら、最初の意念で「混元気」を思いたいものです。すると、体に気が充満してくるでしょう。 病気がある場合だと、「治った」と思う。タイミングさえよければ治ることだって可能です。何か事故がおきたら「危ない」と思って、それから「混元気」と思う。 しかし、これではもう遅いのです。頭の中はたくさん波だっていますから。いつも気功のことで頭を満たしておきましょう。 これが習慣となれば、緊急のとき「混元気」を思うことができます。

 たとえば花を見て「美しいな」と思ったら、花の気も当然いいものですから、その気をもらう。 どこか旅行して、風景に感動したら、そこに満ちている気も回収する、そういう心がけを持ちたいものです。 今回の合同練功にしても、気持ちいいと思ったら、気を回収する。普段の生活でも、気功の思考を優先すれば、緊急のときも気功の意識が出てきます。 毎日の生活の中で、気功を優先しましょう。すると、いざというとき普段の何倍もの効果が得られます。 意識と作用という講義の中で、私は「火事場の馬鹿力」という言葉を借りて、このことを説明しています。 言葉の意味は、ご存知のように、緊急時に普通では考えられない力を出すということですが、気功で頭の深いところに働きかければ、 そのような意識状態となり、その力が持続するのです。


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